お話を聞く(2分44秒:644kb)

 名寄川という大きな川がありました。(氷橋を)作った経験はありませんが,渡ったことはあります。
 そこを渡るために夜,夜中に出かけるんです。木材を切ってあるのを運びに行くんです。馬に乗せてもらって行くのに川を渡らなきゃいけなくて。
 行くときは気がつかなかったですけれど,帰りる時には荷物をたくさん積んでとてもせかされるんですよね。「はやくはやく」と。何でそんなに急ぐのかと思ったら,渡ってきた橋が雪で作ってあったために,解けて流れてしまうから,はやく行かなければならない。ということで急いで川を渡りました。夜中に行ったんですけれども,もう明るくなって昼近くで太陽ものぼっていまして。
 そこを渡るときに目で見ただけのことなんですけれどもそれが雪の橋だったんですね。のちのちそれを見てきた時の感じと感動とが忘れないでいるんですけれど。2月の末から3月に入ったばかりの頃だと思うんですけれども,そこ(氷橋)を渡るときに柳の枝が川の水にひたっているんです。その柳の枝に芽が出ているんですね。赤いつぼみがついていて,そこから白いのとあおいのと,青いのも見えたような気がします。それがすごく感動に残って覚えているんです。
 渡り終えて振り返ってみたら,向こう岸はずっと長いんですよ。あれで何十メートルもあったんでしょうか。振り返ってみたら,向こう側はもうちぎれたみたいなかたちにになって,流れ出していたんですよ。ああ怖かったと思いました。
氷橋
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