理科学習活動案
茨木市立東小学校 指導者 小路 輝子
1.日時
平成16年 5月 24日(月)  第4時限
平成16年 5月 25日(火)  第2時限・第3時限
2.場所
理科室
3.学年・組
5年1組(37名)
5年2組(36名)
5年3組(37名)
4.単元名
『天気と気温』
 
5.学習をすすめるにあたって

 本校では、「5・6年生理科」における複数指導体制の取組を続け、今年で5年目になる(1年目はT・T体制、2年目からは少人数授業加配体制)。 
今年度の少人数授業加配推進のテーマと目標は、以下のとおりである。

《テーマ》

体験及びものづくりを通して、子ども達が《待ち遠しいと思える時間》の創造をめざして

《目 標》
・ 一人ひとりの個性を大切にした細やかな対応の中で、楽しく分かりやすい授業を創造し、科学的思考の基礎となる知識の定着をはかる。
・ 絶えず日常生活や身の周りの事象との関連を持たせた学習の流れを考え、科学的な見方や考え方を育む。
・ 自分で考え発見したことを効果的にまとめたり、自信を持って交流したりするための表現力を育てる。(*)
・ 情報機器を活用した指導も取り入れ、効果的な学習方法や学ぶ喜びが持たせられるような指導形態を研究する。
さらに、今年度で4年目の取組となっている本校教育目標は、

豊かなコミュニケーション能力を培うと共に、自ら判断し行動する子どもの育成を目指して

である。この目標の前半部分は、少人数授業加配推進目標(*)とも大きく関連している。
 これらのテーマと目標に沿いながら、今年度は、更なる単元導入時の工夫(おや、不思議だな?なぜだろう?やってみたいな!と思わせる導入)と、来年度に向けた補充的・発展的課題の試行、基礎的な知識の定着、そして何より子ども達に夢を持たせられるような授業内容の4点に取り組みたいと考えている。
本単元『天気と気温』に関連し、茨木市活用の5年生社会科教科書(大阪書籍)を調べてみた。すると、『わたしたちの国土と人々のくらし』という単元中に「あたたかい土地と寒い土地」を比較学習する箇所がある。ここでは、あたたかい土地の代表として沖縄県が、また、寒さの厳しい土地の代表として北海道旭川市が取り上げられている。旭川市の様子としては、雪の降り積もった町や家々、除雪作業などのほかに、寒さに関する下のような記述がある。
 ・旭川市の月別平均気温の変化(グラフ) 
 ・冬まつり(雪像)やスキー大会などの行事
 ・冬の小学校の授業内容と放課後の様子
 ・寒さを防ぐ工夫や努力
 ・市の設備のいろいろ(流雪溝やロードヒーティング)
  
 このような面から雪や寒さをとらえている社会科に対し、理科で気温や寒暖現象を取り上げることのできる単元を探してみた。すると、本市活用理科教科書(啓林館)では、暖かさや寒さ、水の状態変化(氷・水・水蒸気)、雪・雹・氷柱などの自然現象に関連する内容が、
 ・『あたたかさと太陽の光』 (3年生)
 ・『かげのでき方と太陽の光』(3年生)
 ・『生き物のくらし(春・夏・秋・冬のしぜん)』(4年生)
 ・『もののあたたまりかた』 (4年生)
 ・『水のすがた』      (4年生)
 ・『天気と気温』      (5年生)
 ・『わたしたちの気象台』  (5年生)
で出てくる。
 そこで、少人数加配の目標(楽しく分かりやすい授業、日常生活との関連を持たせた授業、情報機器を活用した指導)とも関連させて、5年生の『天気と気温』の導入を工夫してみた。この導入時の内容を通して、子ども達に色々な自然現象に興味を持たせるとともに、楽しく『天気と気温』の学習を進められるようにしていきたいと考えている。
 
 本学年の子どもは理科学習に対して興味を示し、実験や観察に意欲的に取り組む様子を見せ始めている。4、5月の学習では特にメダカに興味を持ち、熱心に世話を行うクラスも出てきた。中には、小カップに入れて育てているメダカの卵を日々観察し、その様子を知らせに来た子どもがいる。また、解剖顕微鏡や双眼実体顕微鏡を活用してのメダカの卵の観察では、その観察中にメダカのしっぽの部分が卵から出てきたり元気に誕生したりして、感動を覚えた子どもが多かった。さらに、観察にたくさんの時間をとったため、「存分に見られて良かった。」と感想を書いた子どもがいた。このような感動的な場面に接することができたとき、子ども達は大変生き生きと活動する。
しかし、どのような授業にもすべての子どもが意欲的な態度を見せているわけではない。特に、話し合い活動などには、ほとんど参加せず関心を示さない子どもも見受けられる。そこで、この『天気と気温』学習の導入に際しては、天気についての話し合い活動で始めるのではなく、ホームページを活用したり、雪の結晶の紙工作を行ったりする。このことにより、子ども達が色々な内容の理科学習に興味を持つように育てていきたいと考えている。

 

6.単元目標

・晴れた日と曇りや雨の日に1日の気温の変化を調べ、天気によって、1日の気温の変化のしかたに違いがあることをとらえることができるようにする。

 

7.学習計画(全5時間)
第一次 気象関連データやホームページ、雪の結晶の紙工作を通して、気象学習に興味を持つ。(1時間)
第1時
緯度というマクロ的なとらえ方で気温の違いに気づくとともに、北海道教育大学のホームページ(http://yukipro.sap.hokkyodai.ac.jp/)などを活用し、気象学習に関心を持つ。(1/5)
第二次 天気と1日の気温の変化の関係について、見通しを持ちながら計画的に観測し、記録することができる。(3時間)
第1時
同じ場所での地面からの高さを変えて各自温度調べをし、その測定値の違いから気温の定義と正しい測定方法をつかむ。(2/5)
第2時
校内に気温測定用として百葉箱があることを知り、百葉箱の中を見学するとともに、その工夫点を発見していく。(3/5)
晴れた日と曇りの日に、1時間ごとの気温測定をし、記録する。
第3時
測定結果をグラフ化し、考察することによって、天気による気温の変化のしかたの違いをとらえることができる。(4/5)
第三次 地面や空気の暖められ方と最高気温のあらわれ方についての資料を読み、分かったことをノートにまとめる。(1時間)
第1時
まとめと評価テストをする。(5/5)

8.各時間の展開(授業略案)と評価の基準(観点)
 
学 習 活 動
教師の支援と評価
準備物





本 時




(1) 前時の学習の、緯度による気温の違いを思い出す。
(2) 校庭(同緯度、同経度)において、地面からの高さ(踝・膝・腰・胸・頭)を変えて、温度測定を行う。
(3) 測定値を交流し合い、地面からの高さと温度の関係を予想しながら、温度がほぼ一定になる高さを見つける。
(4) 気温の定義とその正確な測り方を知る。

・前時に活用した「桜前線」を掲示する。
・温度計の基本的な使い方を確認後、全員に1本ずつ配布し、各自測定できるようにする。
・測定値には温度計自身のばらつきがあることや誤差が生じることを補説する。
・基礎的知識の定着を図る。

評価:C-1

 

・記録用プリント
・温度計(37本)



(1)百葉箱の仕組みについて話し合い、その中の測定器具について知る。
(2) 校内に気温測定用として百葉箱があることを知り、実際に見に行く。
(3) 天気と気温の関係を予想し、1日の気温の変化を調べる計画を立てる。
・教科書を参考にして百葉箱の特徴や立地条件について話し合いを持ち、見る観点を明らかにする。
・今までの経験を思い出すことから、天気と気温の関連を予想できるようにする。
評価:A−2,E−1

 

・百葉箱
・記録温度計等
晴れた日と曇りの日に、1時間ごとの気温測定をし、記録する。



(1) 晴れた日の1日の気温をグラフ化し、その変化の様子をとらえ、交流し合う。
(2) 曇りや雨の日の気温をグラフ化し、その変化の様子をとらえ、交流し合う。
(3) 晴れた日と曇りや雨の日の気温変化を表すグラフを比較し、その特徴をつかむ。
・折れ線グラフに表す方法を復習する。
・グラフから分かる特徴を各自読み取り、その交流を通して内容を深められるようにする。
・分かったことを各自のプリントに書き加え、基礎的知識の定着を図る。
評価:C−2,D−1

 

・学習プリント
(グラフ用紙)




(1) 地面や空気の暖められ方と最高気温のあらわれ方についての資料を読む。
(2) 気温について分かったことをノートにまとめる。
(3) まとめと評価テストを行う。
・参考資料を使って地面と空気の関係を補説する。
・学習内容を記録してきたノートに書き加えをして、まとめることを伝える。
評価:E−1

 

・参考資料
・評価テスト

《評価の規準(観点)》
A;自然事象への関心・意欲・態度

  1. 気象関連データを通して、暖かさや寒さ、気温の違いなどに興味を持つ。
  2. 天気と気温の関係に興味を持ち、1日の気温の変化を進んで調べようとする。

B;科学的思考

  1. 晴れた日と曇りや雨の日では、日中の暖かさが違うことから、天気によって1日の気温の変化のしかたに違いがあると考えることができる。

C;観察・実験の技能・表現

  1. 温度計を使って、気温を正しく測定することができる。
  2. 測定した気温や天気を、表やグラフに表すことができる。

D;自然事象についての知識・理解

  1. 晴れた日の気温のグラフは山型になり、曇りや雨の日の気温の変化のグラフは高低差の小さいグラフになることが分かる。

E;コミュニケーション能力の育成

  1. 発見したことや考えたこと、疑問に思ったこと等を、分かりやすくまとめたり交流したりすることができる。

9.本時(1/5時)の目標と展開

<目標>
気象関連データやホームページ、雪の結晶の紙工作を通して、気象学習に興味を持つ。  
                    
<展開>

 
学 習 活 動
予想される児童の反応
教師の支援と評価
準備物・評価
つかむ ・今日の学習内容をつかむ。     ・桜前線
・プリント(1)

・プリント(2)
・日本の地図

A-1
色々な生物や自然現象の現われは、何と関係が深いか考えよう
・桜前線と気温の関係を予想する。
・他の例も参考にして、気温が大きく影響していることをつかむ。
・何の地図かな?
・大阪はこの辺りだね。
・4年の理科の本で見たことがあるよ。あれは、ツバメの初めて見られる日だったよ。
・線は何と関係するのかな?
季節、暖かさ、温度、緯度、土地の高低など
・私達の茨木市の位置を確認する。
・他の生物季節線の例も紹介する。
ツバメ
ウメ
ウグイス
アブラゼミ
カエデ
深める ・生物季節線の特徴から、南北の気温や気象の特徴を考える。 ・北に行くほど遅いね。
・カエデは、北が早いよ。
・日本が南北に長いからだね。
・緯度の復習と前線の意味を補説する。 ・プリント(3)
南の方は(○     )。 
 に当てはまる言葉をみんなで考える。
・南の方は、・・・・・
  暖かい。
花が早く咲く。
燕が早く見られる。
・考えを発表できたことを認める。
・気象の特徴にしぼって板書する。
北の方は(○     )。
 に当てはまる言葉を各自考え、交流する。
・北の方は、・・・・・
  寒い。
花が咲くのが遅い。
  秋や冬が早い。

・プリントに記入していることを、自信を持って発表できるように声かけする。
・友達の意見をしっかり聞くことを伝える。

広げる ・暖かさを表すものとして桜の花などがあることから、寒さをイメージできる自然現象や物質、行事などについて考え、交流する。
・ホームページを活用し、大阪ではほとんど見られない雪のイメージを具体的につかむ。
・雪の結晶を見る。
・雪結晶の大きさや、生成時の温度、成長時間などの説明を聞く。
・紙で雪の結晶を作る方法を知り、自分のオリジナルな結晶を作る。
・でき上がれば、黒板に貼り、作品を鑑賞し合う。

・簡単だね。
・テレビで見たことでもいい?
・いっぱいあるよ。

雪、氷、吹雪、雪崩、雹、雪だるま、雪合戦、流氷、氷柱、スキー、スケート、ジャンプ、冬季オリンピック、雪像、雪祭り、流雪溝、ロードヒーティング…

・きれい。不思議だね。
・一つひとつ形が違うね。
・どうやってできるのかなあ。
・作ってみたいなあ。
・紙で作るのなら、教室でもできるね。

・イメージがわかない子どもには、ヒントを与える。


・雪国の様子や除雪に関する施設など、色々なものを紹介する。

・雪を結晶としてとらえ、その形を紹介する。
・「雪の結晶は、天から送られた手紙である。」という北海道大学中谷教授の言葉を紹介する。

・プリント(4)
E−1

・P.C.
・P.J.


・雪の結晶型紙
・はさみ
・赤鉛筆

まとめる ・雪のイメージがどのように変わったか、感想を出し合う。
・次時の予定を聞く。
・みんな結晶の形が違うね。
・本当に作れたらいいな。・気象の学習をするんだね。
・1人ひとりの作品の良さを認める。
・自然現象の不思議さに気づかせる。
・雪の結晶生成にも関係した温度について、身近な体験から学習することを伝える。
A−1