「『雪たんけん館』を授業で使ってみて」
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岩手県奥州市立水沢小学校 |
1 私と「雪たんけん館」
「雪たんけん館」については,3年前の日本教育工学会の論文集でその存在を知った。何回かアクセスしたことがあった。特に今年1月には,我が子が「雪の結晶」を冬休みの自由研究のテーマに選んだので参考にさせていただいた。その時には,「雪について本格的に学習するのには最適なホームページ」という印象を持った。 |
さて,今回堀田先生のご紹介で「基調提言」の機会を与えていただいた。 「授業で使ってみて」という点がポイントである。それ以外にも自分には一つのポイントがあると考えている。それは,「北海道以外の実践者の報告」という点である。 |
子どもたちの雪に対する実態によって,実践のあり方も変わってくるであろう。たとえば,北海道以外でも粗く4つに分けられる。 A 雪を全く見たことのない子どもたち対象の実践 B 雪は見たことがあるが,ほとんど積もらない地域の子どもたち対象の実践 C 雪は積もるがあまり接点のない子どもたち対象の実践 D 北海道と同様に雪が積もる地域の子どもたち対象の実践 本校はCに近い。今回はそのような実態からの報告である。 |
2 今回の「雪たんけん館」を使った実践
今回授業実践の準備を始めたのが7月上旬。最初はひらすらホームページを見ていた。どのような形の実践を行うか考える。「ここは総合の追究学習にディープに活用できるな」「社会の一斉授業の中で使える写真が多いな」と教材開発が好きな自分にとっては嬉しいホームページだった。 しかしなかなか決定的な数時間の授業プランができない。充実したホームページあるが故,なかなか絞れなかった。 そこで,様々なパターンの授業を1時間ずつ行うのが今回はよいと考えた。様々な活用方法があるのであれば,短時間でいいからいくつかのパターンで行ってみようと考えた。実践した授業時間は5時間。ホームページから学習内容を組み立てるという方法をとった。以下のような実践で報告をする。(対象は5年生,35名) |
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3 『雪たんけん館』を授業で使ってみて
★実践例1「冬のくらし」をリサーチしよう | |
1 使ったサイト 「雪を楽しもう 冬の遊び調査」 | |
2 活用方法 @アンケート調査の手法の参考にする A結果を比較する | |
3 授業の展開(総合・1時間) | |
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4 授業の様子 ・調べ方の確認でHPを見せる。具体的な質問のモデル,円グラフや表等の結果の表し方があり,子どもたちは学習の見通しを持つことができた。 ・アンケートは用紙に答えを書き,それを3つのグループが質問を分担 して集計をした。 ・自分たちの結果とHPの結果を比較してみて,改めて北海道の子どもたちとの違いに驚いていた。(例:冬に毎日外で遊ぶ→北海道10%,水沢小5年1組37%) ・感想 ★北海道の子どもたちが毎日外で遊ぶ子が10%だけで,「えーっ!」と思いました。それくらい外が寒いからかなと思いました。岩手はあまり寒くないのかな。 ★やっぱり冬が好きなのは,北海道もわたしたちも一緒なんだと思いました。 |
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5 使ってみて | |
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★実践例2 雪と雪の中の生き物を知ろう | |
1 使ったサイト 「雪を観察しよう」「雪の中の生き物を探そう」 | |
2 活用方法 @自分の課題の追究資料として | |
3 授業の展開(総合・1時間) | |
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4 授業の様子 ・本校児童は雪についてある程度知識があるので,学習課題が数多く出てきた。 ・調べたサイトの多くに自分の課題がほとんどあって,子どもたちは熱中をして見ていた。 ・調べやすさの簡単なアンケートをとった。 「たいへん調べやすかった 43%」「やや調べやすかった 57%」 調べにくかった子は一人もいなかった。 ・感想 ★雪や結晶の種類がいっぱいあって,びっくりしました。また結晶は自分で作れることも初めてわかりました。(雪じゃなくても作れる!)作ってみたいと思います。 ★雪の中に多くの虫がくらしていてすごいと思いました。また,雪の中の生き物はみんな寒さに強い生き物なのかを今度は調べたいです。 |
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5 使ってみて | |
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★実践例3「世界一の除雪」 | |
1 使ったサイト 「雪と暮らそう −除雪−」 | |
2 活用方法 @調べ学習の資料として A教師のゆさぶりの資料として | |
3 授業の展開(社会・1時間)・・・「雪の研究室 こんな実践・あんな実践 除雪」を参考 | |
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4 授業の様子 ・自分たちの地域でも雪は積もるので,子どもたちは除雪の大切さはよく知っている。しかし,除雪と言えば,「除雪車と雪かき」のみしか子どもたちは知らない。実際に予想では,ほとんどの子がそういう答えだった。 ・実際に調べて,札幌市の除雪の方法の多さに子どもたちは驚いていた。 (子どもたちにインパクトがあったのは「CMA(融雪剤)」「ロードヒーティング」) ・ゆさぶり資料に対しては,子どもたちは「わかる」「わかる」と言っていた。これは「道路のはしに除雪車の雪が積もって自分たちも登校の時は不便だから」「音がうるさいから」というように経験があるからだった。 ・「考えたこと」として,「新たな方法を開発する」「私たちも協力しあう」「ちょっとの不便はがまんする」等が出てきた。実際に「雪かきをがんばりたい」という声も出てきた。 |
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5 使ってみて | |
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★実践例4 ホームページについての声 | |
1 使ったサイト 「トップページから自由に」「雪のこと何でもクイズ」「LET'S TRY!」(子どもたち) 「雪の研究室 ―教材用写真集―」 | |
2 活用方法 @興味あるサイトを見る。 | |
3 授業の展開(総合・2時間) | |
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4 子どもたちのHPを見た様子 ・興味のあるサイトがいくつもあり,熱中して見ていた。興味を持ったサイトも特定されず幅広かった。ただし,生き物のサイトは人気が高かった。 ・子どもたちの感想(競うようにたくさん書いた。それだけ興味を持ったHPということである) ★「雪の中の生き物を探そう」でいろいろな動物を見ることができて楽しかった。 ★英語があってビックリ!クイズで初めて知ったことも多くビックリ! ★雪崩が来たときにどのようにすればいいかわかってよかったです。 ★昔の人の説明がわかりやすくおもしろかったです。 |
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5 使ってみて(子どもたちの声) | |
「楽しみながら勉強になる」「英語も一緒に話してしまう」といった興味・関心を高めるサイト,訓練的な要素を持ったサイトとして好意的な感想が大部分であるが,今後のために意見が出ている点を記す。 【雪のことなんでもクイズ】 ・答えがはずれた時,正解を出してほしい。 ・ヒントがほしい。 ・答えの解説があるとさらによくわかると思う。 ・漢字が多いので小さい子は読みにくい。 【LET'S TRY!】 ・通訳の声や文もほしい。何を言っているのか意味がわからない場合がある。 |
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6 「雪の研究室 ―教材用写真集―」を使ってみて | |
・教材用写真集は教材としての価値が高い。写真を見ているだけで教材開発のイメージがわく。今回は信号機をHP紹介の 導入で使った。下を隠して提示したら,子どもたちから多くの意見が出ておもしろかった。 ・このような「思考を促す教材」は提示のしかた,発問のしかたによって授業での活用価値が異なってくる。写真とともに発問例があると,教師も活用場面がわかり教材として使ってみようという気になると思う。 ・写真には説明もほしい。これは「教師が説明をするため」ということもあるが,「子どもたちのため」でもある。たとえば,雪に関するプレゼンを子どもたちが行う。使うのは画像である。この教師用写真集はまとまっている。説明があることによって子どもたちもプレゼンに活用できる。(むろん教師も同様である) |
4 まとめと期待
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